SDGs

身近にあるSDGsの取り組み紹介

 SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。JA東京中央では「食と農を基軸とした地域に根ざした協同組合」として、組合員の皆さんの声に応えながら、自己改革への取り組みを通じて、持続可能な地域農業・地域社会づくりに取り組んできました。ここでは、身近にあるSDGsの取り組みをご紹介します。

 JA東京中央では、みんなの「よい食」を応援する「みんなのよい食プロジェクト」に取り組んでいます。
 「地元の農業を応援して地域を元気にする活動」「栄養満点の旬の農産物を食べて健やかな身体を目指す活動」には、SDGsのアイコンと一緒にこちらのマークが付いています。

世田谷区大蔵で農業を営む安藤さんNEW

 世田谷区大蔵で農業を営む安藤さんは、畑で野菜を栽培しています。栽培している中でどうしてもできてしまうのでが、B級品と呼ばれている「規格外野菜」。味は変わらないため、フードロスの観点からも規格外野菜を近くの飲食店に使ってもらうようにみずから働きかけている。
 今年はメロンの新種である「コロタン」の栽培に挑戦しましたが、収穫時期前に実が落ちたり、傷がついてしまったメロンができてしまったそうで、活用について近で飲食店を経営する土田さんと相談し、浅漬けやシロップ、加工してデザートや、ジャムにすることに成功しました。
 加工がうまくいったものの一方で、「浅漬けは甘みが出てしまうから難しい」との感想もあり、まだまだ試行錯誤中。
 安藤さんは「行き場所がないからと使い道を探すというより、規格外商品も味が変わらないということを知ってもらって、加工したものを正規品と同様に並べられるようにしていきたい。そして規格外商品を使った加工品も一つの世田谷ブランドになるように更に探っていきたい。」と話します。今後も活用方法について考え、新たな発想で消費者に届けていきます。

食品ロスを防ぐために地場産野菜のスムージー販売もスタート!

 東京都世田谷区にあるJA東京中央ファーマーズマーケット二子玉川が、3月28日にリニューアルオープンし、連日多くの来店客が店に足を運んでいます。コロナ禍で来店客が増えたことを受けて農家の出荷も活発になり、地場産農産物を置くスペースを増やしたいという声が上がったこと、また、今まで簡易な作業場はあったが、きちんとした加工場を設置したいという生産者と職員の思いがあり、今回の改装に至りました。改装期間中は生産者がファーマーズマーケット二子玉川のインスタグラムに毎日登場してカウントダウンするなど、直売所のリニューアルを盛り上げました。
 店舗内は限られたスペースを活用するためレジの場所を移動し、入り口から出口までスムーズに買い物ができるよう導線を確保した作りになりました。また、今まで2段だった地場産野菜の棚を3段にし、売り場を拡充しました。通路も広くとったため、混雑してもゆっくり野菜を見て選べるようレイアウトしました。その時の旬のもの・イチオシ商品を並べるための丸テーブルも2つ設置し、全体的に買い物がしやすいよう工夫を凝らしました。
 リニューアルオープンの目玉は、新たな取り組みのひとつでもある地場産野菜で作ったスムージーの販売です。加工場所を作り、受取専用のカウンターも設置しました。このスムージーは、世田谷産野菜の過剰出荷や余剰品、規格外品などを無駄にすることなく使い食品ロスを防ぎたいという思いから、2022年度に試作や試飲を重ね、このほどようやく製造販売にたどり着きました。甘味料・水・氷を使わず素材そのものの味を楽しんでもらえるよう調整されており、生産者からも消費者からも高い期待を寄せられています。今回のリニューアルオープンを記念して、28日・29日の2日間限定で、合計831円以上購入した来店者にスムージーの無料チケットを配布するキャンペーンも行いました。

次世代の組合員がそなエリア東京で「もしも」を学ぶ

 東京都杉並区の井荻倶楽部は、3月4日、東京都江東区にある「そなエリア東京」で防災学習体験を行いました。JA東京中央井荻支店管内の組合員・支店職員・本店職員ら20人が参加し、地震災害後の支援が少ないとされる72時間をどう生き抜くのかに焦点を当てた防災学習施設で体験を行いました。
 井荻倶楽部は支店管内の後継者で構成されており、次世代後継者同士の多岐にわたる交流・育成・相談できる仲間づくりを目的として創設されました。2016年10月に発足し、今まで特定生産緑地制度や共済、JA事業などのセミナーを開催しています。今回、災害時に農地が避難場所としても機能することを踏まえ、それを実際に所有している次世代の組合員が学ぶことで、もしもの時の対策になると考え「そなエリア東京」の防災体験学習を選びました。コロナ禍が明け、久しぶりの屋外での体験学習となりました。
 当日は、タブレットを使ってクイズを解いたり、映像やガイドの話などから幅広い知識を取り入れました。参加者のひとりは「タブレットという最新機能を使い、ガイド付きで学べるので、一からわかりやすく災害について学ぶことができるので、多くの人におすすめしたい場所である」と話しました。井荻支店の吉岡俊幸支店長は「もしも地震が起こってしまった際に、我々に何ができるのかというのを学ぶことができました。知識があることで守れるものがあるということを改めて認識できたと感じる」と振り返りました。

「農を通じ、大学生と連携へ 成城大学とJA東京中央」・東京都世田谷区

 JA東京中央は、昨年の12月下旬にJAキッチンにて成城大学の学生と学食における地場産農産物の提供に向けた打ち合わせをしました。これは9月下旬にJAのホームページを通じて問い合わせがあり、その後メールでのやり取りを経て、実現したものです。
 打ち合わせには、合わせて6人が参加し、同大学からは、法学部1年生の遠藤さんと前田さんが参加しました。2人は日頃より植物由来の原材料を中心に使用した食事を行っています。そして、今回、大学が実施した「学長賞懸賞コンペティション」に参加。テーマは「成城大学の食環境を改善しよう」でした。コンペの途中はJAに協力を要請。最終審査では、日頃より意識しているプラントベースの食事をもとに地場産農産物を使った学食メニューを開発するという内容でプレゼンテーションをしました。結果、最優秀賞を受賞し、今回の打ち合わせにつながったのです。
 打ち合わせでは農産物の出荷時期の確認とメニュー内容の検討を行いました。打ち合わせ後、2人は「ハラルやヴィーガンの留学生など学生みんなが食べることのできるプラントベース学食を通して、世田谷野菜が多くの人に知られるきっかけになれば嬉しい」と話しました。

地域で循環!麦芽の搾りかすが養鶏業者の助けに

 世田谷区にある吉実園は造園業・養鶏・野菜栽培を営む複合農家です。特に養鶏では純国産鶏もみじのほか青い卵を産むアローカナ、ボリスブラウンなど珍しい鶏を放し飼いしていますが、飼料価格の高騰を受け、一時期と比べて3倍近いコスト高に悩まされていました。
 一方でクラフトビールを醸造するふたこビールでは、毎週100kg以上の麦芽の搾りかすが発生しており、以前から付き合いのある農家へ堆肥用に提供するほか、アップサイクル食品としてパン作りにも挑戦していますが、全量の再利用まではできていませんでした。
 それぞれの悩みを聞いた千歳支店職員がお互いの助けになるのではと思い、搾りかすを鶏の飼料として活用することを双方へ提案。吉実園の藤田さんは「鶏は搾りかすをよく食べる。地域で循環できるなら喜んで引き受けたい」と即決した。また、ふたこビール代表市原さんは「放し飼いの元気な鶏に食べてもらえることはとても嬉しい」と快諾し、提案の翌日には吉見園で搾りかす提供に関する打ち合わせを行いました。
 今後は、搾りかすを食べた鶏のオリジナル卵メニューの開発や、吉実園内の果実を使ったシーズナルビールの開発など、生産者・加工業者が手を取り合い食と農を通じたアップサイクルを実践していく予定です。

もしもの時に備えて

 8月下旬、杉並区で農業を営む倉本さんが、JA東京中央杉並事業所職員と一緒に、災害時に生活用水を提供するために使用する発電機の動作確認と、発電機との接続確認を行いました。
 供給する水は、杉並区都市農地保全支援プロジェクト補助金制度を利用して設置した防災兼用農業用井戸のもの。この補助金制度は都市農地が持つ防災機能を強化するために2014年から始まり、設置した井戸は当初の7カ所から現在は21カ所まで増えています。防災機能強化のために、井戸の他にも停電時に必要な非常用発電機の購入、PR看板設置が義務づけられています。
 倉本さんは2018を設置しました。通常は農業用井戸として農産物の潅水に重宝すると共に、庭先直売所の来店客に災害時には役立ててほしい旨を伝えるなどコミュニケーションツールとしても一役かってくれています。倉本さんは今回の動作確認について「発電機は定期的に動かしているため問題はなかったが、いざ井戸水を出そうとなると戸惑った部分もあったので、今回改めて災害時の動きが確認できて良かった」と笑顔で話しました。

JA東京中央女性部が社協に寄付

 JA東京中央女性部は昨年に続き、持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みに繋がる活動をしたいという部員の意見のもと、食品や日用雑貨の寄付を行うことにしました。お中元の時期が終わった7月中旬から8月上旬に部員に呼びかけ、缶詰やレトルト食品、タオルなど546点が集まりました。
 9月8日(木)、井口部長・鈴木部長が杉並区社会福祉協議会へ出向き、集まった寄付品を手渡しました。この日寄付したものは、会を通じて子ども食堂や区内の福祉施設等に提供されます。
 両部長は「コロナ禍で以前行っていた行政との地場産野菜を使用した料理教室が開催できない今、部員同士で話し合い、違った形で助け合いができないかと思い企画をした。たくさんの方にご協力いただき嬉しく思う、今後も継続していきたい」と意気込みを見せました。

地元農家による社会科見学

 東京都中野区で農業を営む松本さんは、区内小学校の社会科見学を受け入れました。同校の3年生4クラス120人が畑で説明を聞きました。当日は、2クラスずつ分かれて、30分で畑を回りました。
 同区で農業を営む早舩さんが手伝い、農機具の説明から始まり、ナスやオクラなどが育つ様子、キュウリが実っている姿を観察しました。
 松本さんの畑ではキュウリをアーチ状に栽培しており、つるを絡みにくくし、収穫しやすくするためと説明してくれました。授業の最後では、トラクターに乗って耕うんの様子など、操作する姿を見て児童たちは前のめりで注意深く観察していました。
 参加した児童からは「どんな気持ちで農産物を育てているか。作るのが難しい野菜は何か」と質問がありました。松本さんは、「おいしく安全なものを作るように心がけている。トマトやジャガイモは作るのが難しい」と答えてくれました。
 今後も自身の経験を通して、児童たちへの食農教育に貢献していきたいとおっしゃっていました。

おいしい野菜どう作る?「食」体験を通じた出張授業

 JA東京中央営農支援課は、7月12日世田谷区の小学校で出張授業を行いました。同校の先生から依頼を受け、2年生の児童30名を対象にJAについてやおいしい野菜の育て方を教えました。授業では、職員達がJAについてと題し、地域の農家さん達の活動や生産緑地について紹介しました。部会活動では一例として、明治神宮に奉献する宝船作りを説明しました。話を聞いた児童は、農産物でできた宝船に興味を持ち、『どのようにできるのか実際に見てみたい』と話してくれました。
 美味しい野菜の育て方は、職員達が野菜クイズにして楽しく学びました。野菜クイズでは、職員の問いに対し勢いよく手が挙がりました。同校では農に対する取り組みが盛んで、児童たちはミニトマトやサツマイモを育てています。
 授業の最後では、ミニトマト3種類の食べ比べを行いました。参加した児童からは「こんなに甘いトマトは初めて食べた。近くの直売所でも探して食べてみたい」と笑顔で間食。今後もJAの基本方針に従い都市農業の維持につながる活動を展開していく。次回は秋に畑で社会科見学を行う予定です。

剪定にこだわりリンゴ栽培

 世田谷区船橋でリンゴ農園を営む高橋さんは、会社員として25年以上勤務した後にリンゴの栽培をはじめ、今年でおよそ20年目を迎えた。
 高橋農園では陽光や千秋、シナノゴールドといった品種を栽培しており、毎年9月から11月半ばまではリンゴ狩りを運営。地域の学校給食への提供やリンゴ製品を扱う店へ出荷する他、社会福祉施設に傷ついたリンゴを寄付するなどフードロス削減にも力を入れている。
 高橋さんはリンゴを栽培していくにあたって剪定作業を重要視している。翌年のためだけに剪定するのではなく、3年~5年先を見据えて行っていく。また、東京都は他の栽培地域に比べ、温度差がなく身が赤くなりにくいという問題があり、様々な環境の中で日々模索しながら農業に励んでいる。
 6月には職員が袋掛け作業を手伝い、毎年同支店の職員らが参加しているもので、1本の木におよそ200~300個程度のリンゴが実をつけており6時間でおよそ30本の木に袋を掛けた。
 高橋さんは「ものが育っていくことはとても楽しい。袋掛けや消毒など消費者から見えない隠れたところでの作業は大変だが、多くの人から農業に興味を持ってほしい」と話す

女性部が「0円市」開催

 城西地区女性部は、6月16日、ファーマーズマーケット荻窪を会場に「0円市」を開きました。
 部員らが家から集めた新品や、新品ではないがまだ使える衣類やバックや食器などを無料で持ち帰ってもらうという取り組みで、今回で2度目の開催となります。
 来場者のひとりは今回の取り組みについて「子ども服はすぐに買い替える必要が出てくるので助かる」などと話した。井口部長は「地域の人に喜んでもらえて、SDGsにも繋がる活動ができて嬉しい。機会があれば今後も開催したい」と笑顔で答えてくれました。

上祖師谷郷土研究会が地域活性化に貢献

 東京都世田谷区にある上祖師谷郷土研究会は、3月27日、上祖師谷農ツアーを行った。これは年齢や在住年数を問わず地域住民に広く地域のことを知ってもらうという目的で、2020年から始まった。以前は、古地名ツアーという名前で行っていたが、当時常務を務めていたJA東京中央の福田武雄専務の助言により、農ツアーと名を変えた。地域に対して熱い思いを持つ高橋光正会長が主導し、以前から地域で人気のイベントとなっている。
 当日は、20名が参加し、地域の畑、用水などの農業遺産7カ所を巡った。かつては、畑作だけでなく、水稲や乳牛など多様な農の営みがあった上祖師谷地域。現在、同JA上祖師谷支部には、50名の支部員のうち、27名の生産緑地所有者がいる。同JA内でも有数の地域だ。そのうちの2カ所では、生産者が自身の栽培法を紹介した。養蜂を行っている宍戸農園では、園主の宍戸達也さん(62)が西洋ミツバチの習性やハチミツの取り方について説明。話を聞いた参加者からは相次いで質問が寄せられた。花市農園では、園主の吉岡誠市さん(70)が栽培中の菜の花やスナックエンドウについて説明。高橋会長が参加者に対し、複数の出荷先に絶えず出荷する吉岡さんの努力を語った。
 昨年は新型コロナウイルスの影響で開催に至らず、2年ぶりの開催に大盛況となった。参加者は「区報を見て、初めて参加した。地元のことを知る貴重な機会となってよかった」と話した。今後の展開について高橋会長は「私が所属している支部には幸いなことに農業に従事している後継者が9名いる。その後継者たちに活動を繋いでいきたい」と語った。活動を通して地域活性化に貢献する同研究会から目が離せない。

JA東京中央女性部の皆さんによるフードドライブ

 女性部では、自らの生きがいや家族のしあわせ、食育活動、趣味のクラブ活動、料理教室、レクリエーション旅行などのふれあい活動を通じて、互いに助け合いながら楽しい活動を展開しています。
 JA東京中央の女性部は、役員会で持続可能な開発目標(SDGs)に繋がる活動で何かできないかと話し合い、家庭で使いきれない未使用食品を持ち寄る『フードドライブ』を行うことにしました。
 お歳暮の時期が終わった1月上旬から中旬の7日間行い、缶詰やレトルト食品、お菓子など425点が集まり、1月18日に女性部長の小山さんが世田谷区社会福祉協議会へ手渡しました。寄贈した食品は、世田谷区社会福祉協議会を通じて、子ども食堂や区内の福祉施設等に提供されます。
 小山部長は、「コロナ禍で女性部活動が制限される中、女性部員同士で話し合い、今後もSDGsに繋がる地域貢献を実行していきたい」とお話ししてくださり、私たちも女性部と一緒になってSDGsの活動を広げていきたいと思います。

「農業は面白い」農家主体の食農活動が教材に 松本吉雄さん

 松本吉雄さん(45)は、東京都中野区にある大和町で、約40aの畑を管理し露地野菜を栽培している。圃場は先祖代々受け継いでいるもので、父の勝秀さん(77)から畑を任されて今年で12年目だ。
 もともと、サラリーマンとして働いていた松本さんは、その経験を生かしトライ&エラーを農業にも取り入れている。「1年に1回しか栽培できない野菜は、失敗すると再チャレンジできるのは1年後になってしまう。毎年同じ気象条件とも限らず、自然と向き合いながらの試行錯誤は正直大変」と、辛いながらも笑顔で話す松本さん。今年はパイプハウスを新規設置し、新たな作付けにもチャレンジする。
 松本さんは野菜を作るだけではなく、区内にわずかしかない畑を食育の場として提供し、小学生の社会科見学を受け入れている。その取り組みが実り、中野区の小学3年生が授業で使う教材に松本さんの畑の様子が掲載された。松本さんは「当初は近所の小学校2校を受け入れていたので私だけで対応できたが、徐々に増えているため、同じ区内の青壮年部役員やJAと協力しながら可能な限り受け入れられるよう対応している。コロナが落ち着くともう少し増えるかもしれない」と笑顔で話していた。9月17日には、JA東京青壮年組織協議会リーダーセミナーにおいて開かれる青年の主張発表大会に出場する松本さん。今後も、都市農業の維持・発展に向け、情熱をもって取り組んでいく。

保育園に野菜プランターと笑顔を届けたい 鎌田守彦さん

 大田区下丸子の鎌田守彦さん(81)が、8月3日、自身が賃貸する認可保育所アスク下丸子保育園へ野菜プランターを届けた。鎌田さんは保育園に賃貸する計画が決まった時に、園児に対し自身の経験を生かして何かできないかと考え、保育園建築に携わったJA東京中央田園事業所に協力を仰いだ。保育園が完成し、開園するまでの間に相川皆子園長と話し合いを重ねた。園長は「園児に教育の一環として野菜の栽培や収穫を体験させてあげたい」と話した。
 園児の年齢を考慮し、まずは野菜のプランター栽培体験を提案した。栽培する野菜はナスとオクラに決定し、同支店職員とプランターを届けた。栽培については鎌田さんが水やり方法、プランター設置場所等のアドバイスをした。今後も週に1、2度訪問して一緒に栽培していくことになっている。
 鎌田さんは「縁があってこのような機会が生まれた。収穫時期に園児たちの笑顔が見られたら嬉しい。また今後は野菜の種類や数を増やしていき、園児たちの食育にも役に立ててもらえれば」と話した。同JA田園調布支店亀井支店長は「保育園の教育に協力できて光栄に思っている。今後もご相談があればJAのできる限り最大限協力していく。」と話した。

【砧地区青壮年部】昭和61年から続く教育田で稲作体験の管理運営に携わる

 砧地区青壮年部は、世田谷区喜多見にある「世田谷区立次大夫堀公園じだゆうぼりこうえん」内の教育田で、長年にわたり稲作体験の管理運営を行っています。
 砧地区青壮年部は昭和25年4月に設立し、昨年4月に70周年を迎えた伝統ある部会です。JAの行事をはじめ世田谷区、東京都内の各地区の青壮年部と協力し、都市農業を守るため、消費者へ理解を醸成する活動や、区内住民を対象に講師として農業ボランティア育成に努めています。昭和61年から続く教育田での稲作体験では、平成7年から旧砧農協の諸先輩方から引き継ぎ、管理運営に携わっています。
 田植えを翌日に控えた5月25日、砧地区青壮年部の皆さんが、苗取り等の準備のために次大夫堀教育田に集まりました。部長の荻野顕治さんが作業の流れを説明し、苗の準備、水田の代かき、浮いている藻を掬うすくうなど作業を手分けして行う部員たち。当日は日差しが非常に強く、気温が高い状況でしたが、長年この活動を続けてきた熟練の技であっという間に準備が終わりました。
 5月、砧地区青壮年部の部員、世田谷区職員、JA役職員ら約100人で田植えを行いました。本来であれば、近隣の小学校や幼稚園などの教育団体や一般参加の区民など約15000人が参加して田植え体験をしますが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令中のため、昨年度に引き続き関係者だけでマンゲツモチの苗を植えました。10月、いよいよ稲刈りの日がやってきました。こうべを垂れるほどに実った稲の根元を持ち、鎌でザクザクとテンポ良く刈り取っていく砧地区青壮年部の皆さん。収穫したモチ米は精米して、地元の小学校や幼稚園にお配りします。
 荻野部長は次大夫堀公園での活動を振り返り「教育田なので、子どもたちに米づくりという貴重な体験をしてもらいたい。今後もずっと水田を守っていけるよう現状をしっかりと維持していけるよう頑張っていく」とお話してくださいました。

合併25周年記念統一夏季農産物品評会の野菜や花を寄付

 6月18日と19日の2日間、東京中央グリーンホールで、合併25周年記念統一夏季農産物品評会を開催しました。大田・世田谷・杉並・中野の4区の生産者が大切に育てた農産物901点が出品され、厳正な審査の結果、特別賞26点を選が選ばれました。また、新型コロナウイルスの影響で即売会を開けない代わりに、審査終了後に各区にある社会福祉協議会や子育て支援ネットに全て寄付しました。
 当日、箱詰めの音頭をとってくれたのは「JA東京中央青壮年部」。段ボールに色テープを貼って5カ所に区分けし、職員が現地へ運びました。農産物を受け取った皆さんからお礼の言葉が届きましたので、ご紹介します!

  • とても立派な野菜をいただき、ありがとうございます。
  • 生野菜はお母さん達にとても喜んでもらえます!ありがとうございます!
  • 大変喜んでいただきました。野菜をお届け頂いたタイミングで、ちょうどひとり親家庭と困窮世帯への食材支援を行っていたので、「普段、お野菜が高いのでありがたいです」「見ただけで、新鮮な良い野菜って分かる!」「馬込半白節成キュウリ、初めて聞いた」とのお言葉を多数いただきました。本当にありがとうございました。
  • お野菜は本当に沢山の方々が喜んでくれました。皆さん、新鮮でおいしそうなお野菜を見て、目を輝かせながら最高の笑顔でした。そして、何度も「嬉しい」「生活が苦しくてお野菜が買えないので本当に助かると」おっしゃっていました。
  • 野菜をお渡しした参加者のお話しをします。度重なる緊急事態宣言延期で勤めていた店が閉店し、無職となってしまったシングルマザーの方は沢山のお野菜を喜んで涙を浮かべて感謝されていました。その方からは「早速、いただいたきゅうりでサラダを作りました。すごく助かります。キャベツは父の日に鍋にしました」と感謝のメールを頂きました。

(写真提供:子ども食堂ヒロ様)

規格外の野菜をメニューへ

 東京都世田谷区にあるJA東京中央ファーマーズマーケット二子玉川では、農家と飲食店を繋ぐ取り組みに力を入れている。
 渋谷区代々木に店を構える「よよぎあん」の関将伸さん(47)は、10年以上にわたってファーマーズマーケットで地場産野菜を購入し、自慢のメニューで活用している。今年に入り「農家が出荷できず残った野菜や、処分してしまうものがあったら購入したい」と相談があり、同店職員が農家とのマッチングに乗り出した。6月には取り組みに賛同する生産者が見つかり、関さんへ出荷することができた。
 生産者の鈴木孝臣さん(48)は「曲がったキュウリやインゲン、形がいびつなトマトやナスなど、味の良さは変わらない農産物を飲食店で使ってもらえるのはとても嬉しい」と喜びを語った。関さんは「調理してしまうので、形が少し悪いというだけで使える野菜を捨てるのはもったいない。価格も安くしてもらっているし、鮮度抜群の採れたて野菜をお客さんに提供できるからありがたい」と笑顔で話した。「長年取り引きをしている関係があってできた試みをこれからも継続していきたい」とファーマーズマーケットの都築店長も意気込む。関さんは今後、SNSで情報交換をしながらメニューを考えたり、栽培してほしい野菜の要望などを鈴木さんに伝えていく。

映えより味で勝負、規格外のフルーツサンドイッチが好評

 JA東京中央ファーマーズマーケット二子玉川では、世田谷産の旬の果物を使ったフルーツサンドを販売している。人気のサンドイッチを手がけているのは、アーリーバードの野中千穂里さん(56歳)。2021年2月に地元産野菜のサンドイッチ「世田谷サンド」を販売したところ来店者からの人気も高く、昨今のフルーツサンド需要の高まりを受け、試作販売の末販売に至った。
 7月に入って収穫期を迎えた早生桃の出荷が始まり、店頭にも並ぶようになってきたが、野中さんはその中で傷がついたものや出荷できないものを農家から買い取ってフルーツサンドを作っている。フードロス削減の観点から持続可能な開発目標(SDGs)達成の一環にもなり、JA自己改革の基本目標でもある農業所得の向上にもなるということで、世田谷サンド以上に考案・開発・販売に力を入れている。野中さんは桃のフルーツサンドについて「中のクリームに少しヨーグルトを入れ酸味を加えることで、桃の風味を引き立てるよう工夫した。傷が付いたとしても果物のおいしさは変わらないので、規格外品の利活用としてフードロス削減にも取り組めていると感じる」とフルーツサンドを作る意義を語った。
 今後は、旬の果物に合わせてイチジク、カキ、ブドウ、マスカット、リンゴなどのフルーツサンドを考案・試作し、来店者に地元さん果物をPRする。

ペットボトルのキャップを集めて地域貢献

 大田区にある馬込支店は、昨年の5月から、地区を拠点にした活動の一環でペットボトルのキャップを回収しています。馬込支店・ハウジング馬込店・仲池上キャッシュコーナーの3カ所に回収箱を設置。集めたキャップは業者に依頼してリサイクル資源として利用し、その利益がワクチンの費用として「認定NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会」へ寄付しました。 地域の皆さんの協力で集まったキャップは163,500個で、重さにして327キログラムにもなり、ポリオワクチン163.5人分相当になりました。また、キャップをゴミとして焼却した場合に発生するCO2量1030.1キログラムの削減にもつながりました。
 支店長は今回の取り組みについて「地区を拠点にした小さな活動が地域の人をつなぎ、世界の子どもたちのために役立ったことは意義がある。温室効果ガス削減にもつながっており、今後もこの活動を長く続けていきたい」と話し、意欲を見せました。

「農業井戸」防災にも都市農地機能強化へ向け点検

 東京都杉並区は都の「都市農地保全支援プロジェクト」を利用してJA東京中央と協力し、農家の畑に防災兼用農業井戸を設置しています。このプロジェクトは、都市農地が持つ防災や環境保全などの役割を十分生かすとともに、地域住民に配慮した基盤を整備し、貴重な都市農地を保全することが目的。井戸の整備や停電時に必要な非常用発電機の購入費、防災協力農地看板の整備などを補助しています。井戸の設置は2014年の7カ所から始まり、現在は21カ所にまで増えています。
 3月上旬、2018年に井戸を設置した牧野繁男さんから動作確認依頼があり、設備業者と共に設置状況や稼働状況を調べ、発電機が正常に動き、井戸水を汲み上げることができることを確認しました。
 防災兼用農業井戸は日ごろの栽培管理だけでなく、災害時の防災用地と食料提供に加え、地域住民への生活用水の提供にも利用できます。点検を終えた牧野さんは「農業用井戸として役立てるとともに、災害時には近隣住民に提供できるようしっかりと備えておくことが大切だ。発電機が正常に動き、井戸水が出ることが確認できて安心した」と話しました。

T-GAP平川農園 平川幸志郎さん

 大田区にある平川農園では、園主の平川幸志郎さんが無農薬にこだわり、約30種類の野菜を育てています。令和3年3月に、東京都GAPをトマトで取得した平川さん。平成12年12月には東京都エコ農産物認証制度で化学合成農薬と化学肥料を全く使わない「東京エコ100」の認証を受けており、農産物に対する安全と、生産環境に対する安全を消費者に向けてPRしています。

夏ミカンの皮も実もまるごと使い切る 佐久間夏子さん

 世田谷区喜多見に住む佐久間夏子さんは、夏ミカンの皮を使った「なっちゃんピール」と、実を使ったゼリーをファーマーズマーケット二子玉川に出荷し、人気商品となっています。ゼリー作りは、皮を剥いた夏ミカンの実を有効活用しようと、食品ロス防止の観点から今年の5月から始めました。毎週水曜日と日曜日に出荷し、こちらもおいしいと好評です。

小学生に夏野菜の苗植えを教える高橋光正さん

 世田谷区にある芦花小学校で6月1日、小学校2年生5クラスを対象にミニトマトの苗植えを行った。この取り組みは、世田谷区上祖師谷の高橋光正さんが小学校側に依頼され、8年前から始めたものだ。「先生!僕のは、できてますか?」青空の下、キラキラした眼差しで高橋さんに呼びかける子供達。好奇心の赴くままに熱心に質問する様子が印象的だった。これじゃあ土が少ないな、もっと入れないといけないよと指導に熱が入る高橋さん。その声からは、都市農業を広めたい真っ直ぐな思いが感じられた。
 現在、都市農業を周知するため、世田谷区内にある小学校4カ所を回り、食育活動を行っている。今回のイベント終了後、高橋さんに対し、今後も継続して課外授業をするか尋ねると、「小学生への課外授業は今後もやっていきたい。子どもたちに教えるのは大変な作業なので、積極的にやる農家はいないが、都市農業のファンを増やすべく活動したい」と意気込んだ。

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