世田谷区にある吉実園は造園業・養鶏・野菜栽培を営む複合農家です。特に養鶏では純国産鶏もみじのほか青い卵を産むアローカナ、ボリスブラウンなど珍しい鶏を放し飼いしていますが、飼料価格の高騰を受け、一時期と比べて3倍近いコスト高に悩まされていました。
一方でクラフトビールを醸造するふたこビールでは、毎週100kg以上の麦芽の搾りかすが発生しており、以前から付き合いのある農家へ堆肥用に提供するほか、アップサイクル食品としてパン作りにも挑戦していますが、全量の再利用まではできていませんでした。
それぞれの悩みを聞いた千歳支店職員がお互いの助けになるのではと思い、搾りかすを鶏の飼料として活用することを双方へ提案。吉実園の藤田さんは「鶏は搾りかすをよく食べる。地域で循環できるなら喜んで引き受けたい」と即決した。また、ふたこビール代表市原さんは「放し飼いの元気な鶏に食べてもらえることはとても嬉しい」と快諾し、提案の翌日には吉見園で搾りかす提供に関する打ち合わせを行いました。
今後は、搾りかすを食べた鶏のオリジナル卵メニューの開発や、吉実園内の果実を使ったシーズナルビールの開発など、生産者・加工業者が手を取り合い食と農を通じたアップサイクルを実践していく予定です。